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内部被ばくを考える市民研究会

福島第一原発事故後の日本に生きて、川根眞也が日々感じて思うことをつらつらを書いていきます。

新基準値100ベクレル/㎏まで食べろ、ということなのか?

 2012年4月1日から、放射性セシウムについての一般食品の基準値が100ベクレル/㎏になりました。これまでの暫定規制値の500ベクレル/からすれば、5分の1です。これをテレビ、マスコミでは「厳格基準」などと言っていますが、これほど高い放射能レベルのものを日常的に食べては非常に危険です。

 まず、3・11の原発震災以前の規制値は輸入食品についてだけで、セシウム134よびセシウム137の濃度が370ベクレル/kg以下でした。この規制値はチェルノブイリ事故後のヨーロッパや旧ソ連諸国から輸入される食品を対象に1986年11月に決められたものでした。

 しかし、輸入食品だけを食べるひとはいません。この数値であっても、国民の健康を守れると当時の政府は思ったのでしょう。現在、私たちの置かれている環境はすべて国産のものすべてに放射性物質が入っているかもしれない状況です。特に、福島、宮城、岩手、山形、秋田、茨城、栃木、群馬、千葉、埼玉、東京、神奈川、山梨、静岡ではそうです。山梨の一部、新潟の一部でもそうでしょう。この表現が大げさではない理由は、日本原子力研究開発機構は作成した、セシウム沈着予想(3月12日~5月1日まで)が示しています。

セシウム137の積算沈着予想 日本原子力研究開発機構 2012年9月6日公表

 この東北および関東地方、中部地方と東海地方の一部に生きる方は、いやおうなしに、食品中の放射性物質による健康被害の影響に直面すると思います、それはあと5年か6年後かもしれません。3・11から1年が経ちました。広島で、奇形児の出産が目立ち始めたのが原爆投下後、6年後・7年後・8年後だと言います。白血病の1回目のピークが7年後、8年後、9年後だと言います。つまり、東京第一原発の放出した放射能による、奇形児出産のピークが2017年、2018年、2019年かもしれないということ。白血病のピークが2018年、2019年、2020年かもしれないということです。「これくらいの放射能は安全です」という放射能の専門家はその時にどんな責任を取れるというのでしょう。その子を持つ親は言葉で表せない苦しみを負うしかないのかもしれません。

 そうならないために、放射性物質を食べてはなりません。子どもに食べさせてはいけません。

 自然放射性物質 カリウム40と 人工放射性物質 セシウム134、セシウム137 は人体にまったく違う影響を与えます。たとえ、ベクレル数が同じでもです。そして、今回の100ベクレル/㎏という新基準は、食品中の放射性物質を何も規制しないにも等しいのです。なぜなら、現在流通している野菜、肉、魚ではほとんどが100ベクレル/kg以下だからです。しかし、毎日の食事で合計10ベクレル セシウム134、137を摂取しているとします。すると、700日後(=約2年後)には体内には1400ベクレルを越える セシウム134、137 が蓄積してしまいます。

1回だけ1000ベクレル 放射性セシウムを摂取した場合と、毎日1ベクレル、毎日10ベクレル摂取し続けた場合

 たった、1日10ベクレル摂取しただけで、です。1㎏あたり100ベクレルの魚を100g食べただけで、10ベクレル食べたことになります。最近ではアイナメ、ヤマメ、タケノコ、シイタケ、干し柿などが100ベクレル/㎏を越えたものが流通しています。


食品中の放射性物質検査の結果について 2012年3月31日以前検査実施分 厚生労働省 20120404公表


 ちなみに、4月1日から新基準値が設定されると言うものの、牛の飼料がこれまで300ベクレル/㎏までOKだった関係から、今年9月30日までは牛肉は500ベクレル/㎏までは規制されないことになっています。大豆にいたっては今年12月31日まで500ベクレル/kg。トマトジュースやにんじんジュースは今年3月31日製造分までは200ベクレル/kgまでOKと厚生労働省は決めています。

乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令別表の二の(一)の(1)の規定に基づき厚生労働大臣が定める放射性物質を定める件及び食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について 厚生労働省医薬食品局食品安全部長 通知 2012年3月15日
 
 本当にうそが多い国です。

 そして、これまでの放射性セシウムの暫定規制値が500ベクレル/kgという「規制値」は、もし限度いっぱい食べているとすると、17ミリシーベルトに相当する、と厚生労働省も述べています。(2012年3月28日 美浜の会のホームページ参照)しかし、今回の100ベクレル/kgでは、ストロンチウムやプルトニウムも含めて、1ミリシーベルトに相当すると、彼らは言っています。

食品中の放射性物質 暫定規制値と新規準値 川根眞也


 しかし、これはうそです。政府や厚生労働省が放射線の人体に対する影響を評価する元になっているのが、国際放射線防護委員会(ICRP)です。国際放射線防護委員会(ICRP)は、放射線に対する影響を外部被ばく:内部被ばくを1:1としています。一方、欧州放射線リスク(ECRR)は、少なくとも、1:300。または1:1000だと試算しています。

 つまり、1:300だとすると、政府が決めた4月1日の新基準値による内部被ばくは1ミリシーベルトなのではなく、最低300ミリシーベルトや最高1000ミリシーベルトに相当する可能性があります。

 100ベクレル/kgまで日本政府は食べさせようとしています。けっして食べてはなりません。

 子どもも大人も毎日の食事は0ベクレルであるべきです。



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  1. 2012/04/06(金) 00:14:29|
  2. 放射能
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
<<2012年4月14日 横浜で1.2マイクロシーベルト/時越え(Radex1503) | ホーム | 東京、埼玉で1月6日放射線量が一時急上昇したのはなぜか?>>

コメント

シュミレーション結果のみを鵜呑みにするのではなく、実測を!

ブログ、拝読させて頂きました。市民、国民を守るための活動、素晴らしいと思います。ただ、ブログ中にあげられた県が本当に汚染された地域か、そこで採れた農産物が汚染されているかは、シュミレーションではなく、土壌、水、農産物の放射性物質の実測が必須であり、その結果に基づき、厳密な住所と土壌、農産物のデータ公表が大切と考えます。短絡的に地名をあげることは、実害ではなく風評被害をうむ危険性があります。一例をあげると秋田県は、土壌が約10~20ベクレル/kgで、農産物が0.8ベクレル/kg程度かそれ以下です。盛岡や岩手県県北も土壌が約2~3ベクレル/kg程度で、日本でも汚染の低い地域となっています。ご存知の通り、放射性物質による汚染は、行政による地域区分、市、県と一致するものではなく、ホットスポットが存在したりすることを考慮した表記が必要です。正しい情報を伝えつつ、決して風評被害を出さないためには、上記配慮をお願いいたします。今後、益々の活動を祈念いたします。
  1. 2012/04/08(日) 06:52:58 |
  2. URL |
  3. 技術者より #-
  4. [ 編集 ]

本日はよろしくお願いします

AAKの清川村細野です。
本日は親子講座「子どもたちを放射能から守ろう」
でお会いするのを楽しみにしております。

遅ればせながら、「子どもを放射能からまもりたい 清川」
にこちらのブログ、内部被曝を考える市民研究会HPの
リンクを貼らせていただきたくコメントさせていただきました。

よろしくお願い申し上げます。
  1. 2012/04/08(日) 09:23:09 |
  2. URL |
  3. AAK 細野 #2uxNNyfg
  4. [ 編集 ]

100ベクレル問題・・・4月20日朝日

4月29日の伏見深草での学習会本当に良かったです。ジャーナリスト井部さんの講演会です。課題は瓦礫です。‏
4月29日京都生協の働く仲間の会
keizirou.hushimi@hotmail.co.jp

京都生協の働く仲間の会です。
1、なかなか行けるとは思っていなかった。行けて良かったです。
2、内容は濃く、豊富なものでした。数値や写真をふんだんに駆使してまるで大学の専門講演でした。それぞれ自分で歩いて取材したものであり、迫力あり役立つと思っています。
3、私は4月20日朝日新聞記事についてなど質問表に書きました。それにも丁寧に詳しくどんどん話してくれました。
4、気付いた点です。4月20日朝日新聞記事は甲信越限定記事ですが極めて重要です。政府野田、細野、更に橋下などは、100ベクレル以下は安全だ。100ベクレル以下の瓦礫しか広域処理しないと口頭でも文書でも主張してきた。しかし、『100ベクレル以下は安全だ』とは全く嘘です。それを4月20日朝日新聞記事写真は示している。
5:
柏崎原発は4月19日に公開した。放射能汚染物質をどのように処分してるかを。柏崎原発では100ベクレル以下の汚染物質はドラム缶に詰め、厳重に管理し、漏れないように固着化してる。そうして青森県六ヶ所村に送る。そうして最終処分してる。と言うことを公開した。そのことが朝日新聞記事写真になっている。
6、
つまり、野田首相、山田知事、門川市長らは本当は①モルタルなどで漏れないように固着化し②ドラム缶に詰め、厳重に管理し、③青森県六ヶ所村に送る放射能汚染物質を京都、西日本、全国に持ち込んで全国を最終処分場にしようとしています。しかも、焼却などで放射能をばらまいて、などしてです。とんでもない。被曝ジェノサイドそのものです。
7、井部さんも、朝日新聞は放射能瓦礫安全キャンペーンを政府に従って先頭でしてきた。が、異論が出始めたってな、とのことです。
そう言えば、モーニングバードもちょっと前玉川総研で瓦礫処分は現地でできるみたいな特集をしてました。ただ井部さんは今あちこちの放射能瓦礫処分が極めて杜撰で労働者に被曝を強いてるって問題にしてました。竹箒でこぼれた飛灰をはいたり、手で集めたりとかまさに被曝強要労働です。JCOの被曝労働労災死亡を想起させられます。それもほとんどが民間委託でアルバイトや日雇い労働者だったりします。その意味では原発労働者以上に被曝労働が知識不足や管理のいい加減なやり方がありひどい。これも解決しなければならない重要な問題です。8、これは深草の環境を守る会主催です。若いお母さんが一生懸命撮影していました。
9、なお井部さんは、岩手の放射能瓦礫を東京で処分するのはわからないではないなどと言っていました。①つは東京は電力の受益地②東京は東電の大株主だ。東京都石原知事は今大株主としての権利を行使すると言っているが、原発を推進した責任を取らなければならない。③東京は岩手より汚染されている、などが理由だとのことです。
私は石原知事の責任と都民労働者市民の責任は別だ。石原知事の責任はとことんとらせなければならない。と思いますが、同じ責任を都民一般に取らせるのは違うと思います。 以上4月29日伏見深草の学習会でした。会場で私達は『再稼働反対!放射能瓦礫バラマキ反対!』のビラを配布しました。
  1. 2012/05/01(火) 00:52:33 |
  2. URL |
  3. 京都生協の働く仲間の会 #-
  4. [ 編集 ]

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