安倍政権は2014年7年1日にも、集団的自衛権について、閣議決定すると報道されています。公明党も池田大作問題、宗教団体の政治活動禁止の問題で、首のねっこを押さえられているとか。公明党に期待することもかなわぬ状況のようです。
毎日新聞は世論調査の58%が集団的自衛権に反対していると書きました。(2014年6月29日朝刊)東京新聞は、各地方自治体192議会で、集団的自衛権の閣議決定について、拙速な議論であり時期尚早や反対決議が上がっている事を報じました。(2014年6月29日朝刊)
一方、朝日新聞はトップ記事が「学長まるで社長」と寝ぼけた記事。その横に「公明 地方から異論続出」とこの集団的自衛権の問題があたかも公明党内のごたごたであるかのような報道ぶり。読売新聞にいたっては「ロボット手術室開発へ」がトップ記事です。2面にやっと「公明 地方に理解求める」の記事。できるだけ、7月1日閣議決定が目だないように工夫した紙面づくりです。
6月28日に公表された、「集団的自衛権 閣議決定最終案 全文」には、以下の記述があります。
「どの国も一国のみで平和を守ることはできず、国際社会もわが国がその国力にふさわしい形で一層積極的な役割を果たすことを期待している。」
これが、集団的自衛権の基本となる考え方なのでしょう。これは果たして正しいのでしょうか。
折しも6月28日は、1914年6月28日オーストリア・ハンガリー帝国のフランツ・フェルディナント皇太子夫妻が、帝国からの解放を求める19歳のセルビア人青年ガブリオ・プリンツィプに暗殺された日です。この第1次世界大戦が開始される引き金となった事件から100年目にこの集団的自衛権の閣議決定案が示されたことに、暗示を感じるのは私だけでしょうか。
4年にわたり、約1500万人が犠牲となった第1次世界大戦。それは数カ国の連合国同士による、安全保障戦略が、対立する軍事グループの相互の不信を生み出し、それぞれの独自の軍備増強への衝動を引き出した結果でした。それは、止めどなき軍拡競争の道を開くものでした。
私たちにとって、必要なのは、地域の集団的安全保障です。地域の相互の信頼、特に社会主義体制と資本主義体制を包含した地域の対話と、文化的、経済的、そして軍事交流まで含めた、人と物、機会の交流で、相互の信頼関係を築き上げていくことが大切です。
欧州安全保障協力機構(OSCE)が、ウクライナの動向に関して、大きなイニシアチブを取れなかったことは本当に残念です。しかし、NATOにウクライナを参加させる試みは、ロシアを中心とする独立国家共同体(CIS)の反発を産むだけです。 欧州安全保障協力機構(OSCE)が、NATO、CISを包含する役割を担うことが大切であると思います。
今、必要なのは、アジア太平洋地域における相互信頼であり、安心で軍備縮小を進められる政治的な国際関係だと思います。
今こそ、アジア太平洋地域の集団的安全保障を掲げるべきだと思います。日本が主張している、たった数カ国の狭い利己主義的な集団的安全保障を否定する、政治グル―プの登場を期待したい。
また、現安倍政権の進めるアベノミクスは、日本の金利を大幅に下げ、円安ドル高を意図的に誘導することで、株価を引き上げることしかやっていません。日本の経済は一時的にカンフル剤を打たれた状況であり、物価が上昇してもその上昇幅に見合った賃上げは行われていません。つまり、一部の株式投資家や、国内だけでなく、国内外で株式投資まで含めた企業活動を行っている企業家たちだけが儲けている状態です。国内だけの生産、流通業を行っている自営業、企業は、円安ドル高による、原油価格の高騰により、電気代が増え、燃料代が増え、ことごとく収益を減らしています。
現安倍政権の進めるアベノミクスは、TPPとも絡み、国内農業も破壊し、大規模化へと集約させるものです。大規模化は機械化だけでなく、遺伝子組み換え作物の導入、農薬の広範囲散布などの問題を引き起こすでしょう。現在のTPPの議論では、「食の安全」ということが語られることがありません。「食の安全」を度外視した、安い食品が手に入ることがなぜ必要なのでしょうか?
そして、アベノミクスの第4の矢は、原発輸出、武器輸出だと思います。1950年6月25日朝鮮戦争が勃発し、その1950年8月10日にGHQが警察予備隊を設置しました。この警察予備隊が、保安隊(1952年)を経て、現在の自衛隊(1954年)へと変貌していきます。
その64年後の2014年4月に安倍政権は、武器輸出三原則を投げ捨て、「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、事実上、紛争当事国にも武器輸出ができるようにしたのでした。
かつての日本が朝鮮戦争による「朝鮮特需」で経済復興したように、今また、世界の紛争地域に武器輸出をすることで経済復興しようとしているのではないでしょうか。原発輸出にしてもしかりです。
武器は戦闘地域でつかってこそ、その真価がわかるものです。自衛隊を紛争地域に派遣し、その武器の実用度を証明することでしか、武器が売れることはないでしょう。そのための、集団的自衛権ではないでしょうか。
そして、2014年6月16日から、パリの世界最大規模の武器の国際展示会「ユーロサトリ」に、日本の企業が始めて参加しています。日本がアメリカとだけではなく、フランス、インド、イギリス、イタリア、オーストラリアなどとも武器輸出、共同開発をしようとしています。

安倍政権の第4の矢、原発輸出と武器輸出による日本の経済復興の路線は、世界を一層の軍拡競争に導き、最終的には新たな紛争を準備することです。それは日本の軍事大国化、徴兵制への道でもあります。日本の防衛とは、日本がアジア、太平洋地域の諸国と信頼と経済的友好関係によって、相互発展することで、安全保障を図るべきです。軍事的増強や、同盟国同士だけの相互的結びつきは相手グループの不信と、軍拡を招き、一方の地域の不安定化を招くだけです。
安倍政権の、憲法無視、そして、世界をも軍備増強に引き込む、集団的自衛権の閣議決定に反対します。
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- 2014/06/30(月) 00:52:29|
- 日本の政治
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