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内部被ばくを考える市民研究会

福島第一原発事故後の日本に生きて、川根眞也が日々感じて思うことをつらつらを書いていきます。

今日の雪には触れてはいけない

 東京埼玉では今年初めての雨。今日の雨には当たってはいけません。2号機の2つの温度計が急上昇していました。圧力容器下部の温度計69K1は1月8日を180℃越えています。野田首相が2011年12月16日に福島第一原子力発電所の「事故収束」宣言を出しましたが、その理由の一つが「原子炉圧力容器の下部が100℃以下」でした。この69K1という温度計は圧力容器の下部にあり、これが180℃ということは「事故収束」宣言の撤回を意味します。

 東電は2012年1月7日この温度計と69K3は故障と発表しました。下記
福島第一原子力発電所第1号機、第2号機及び第3号機の原子炉内温度計並びに原子炉格納容器内温度計の信頼性評価について
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 果たして、温度計が壊れたのか?それとも2号機圧力容器下部で再臨界が起きているのか?もしくはその両方か?

 2号機の圧力容器温度計69K1、圧力容器シール下温度計114R#2、格納容器内放射線量(S/C)Bの推移を2012年12月16日から1月13日までの変化をグラフ化しました。これは東京電力のホームページの「福島第一・第二原子力発電所の状況」→「福島第一原子力発電所の現状」→「プラメントパラメータ(原子炉格納容器)の水位・圧力・温度」→「6時間毎のデータ(CVS)2号機」から作成したものです。
2号機 温度計69K1 114R#2 および格納容器放射線量(S/C)B 20130114


 また、2013年1月8日午前9時41分ごろ、東京電力福島第一原子力発電所2号機と3号機の間から、黒煙を伴う爆発が起きたようです。

youtube動画 2013.01.07_09.40--10.40(TBS_JNN) TBS JNN福島第一原発情報カメラ(LIVE)の記録

 友人も今日の東京の空間放射線量が急激に上昇していることを教えてくれました。この頃には雨は雪に変わっていました。

東京都空間線量率グラフ 2013年1月14日

 1月4日からの東京都の各地での空間放射線量(1時間ごと平均値)をグラフ化しました。単位はマイクログレイ/時ですが、これはマイクロシーベルトとほぼ同じです。東京都健康安全研究センターの大気中の放射線量の1時間ごとのデータをグラフ化したものです。

東京都 各地の大気中の空間放射線量

 今、越谷市のお母さんから連絡がありました。いつも、0.10マイクロシーベルト/時の場所が、雪の5cm上で0.20マイクロシーベルト/時、1m上で0.15マイクロシーベルト/時。(2013年1月14日 14:30pm Radex)2度目測定しても、雪の5cm上で0.190マイクロシーベルト/時、1m上で0.15マイクロシーベルト/時。(2013年1月14日 16:45pm Radex)

福島県が福島市で測定している「定時降下物環境放射能測定」でも、1月7日に24時間で放射性セシウムの降下物が60.5ベクレル/m2計測されています。これは昨年12月27日以来の高い数値です。また、1月10日に12.83ベクレル/m2、1月11日に14.29ベクレル/m2計測されています。

福島県 定時降下物環境放射能測定値 2013年1月14日

2012年12月 福島県 定時降下物環境放射能測定値

 また、さいたま市中央区のお母さんからも連絡がありました。雪の5cm上で0.20マイクロシーベルト/時。(2013年1月14日 16:00pm Radex1503)普段は0.07マイクロシーベルト/時の場所です。

 この雪は相当放射能汚染されている可能性があります。特にシンチレーション式カウンターではなく、ベータ線にも反応するガイガーをお持ちの方は情報をお寄せ下さい。いつもは○○マイクロシーベルト/時なのに、雪の上5cmだと△△、1m上だと□□という風に。計測に使った計器の名前も教えて下さい。

 もし、東京、埼玉などの雪の上で同じようなことが起きている場合、この雪は危険です。ガンマ線だけではなく、ベータ線を出す核種が含まれている危険性があります。口内炎が起きたり、まぶたが腫れる可能性もあります。皮膚に触れたり、口に入れたりしないように、十分注意して下さい。学校へのなんらかの要望をする必要があります。

 内部被ばくの仕組みについて、以下の資料をご覧下さい。

内部被曝のメカニズム 放射性物質はどこから体内に入るのか?

<追伸>「原発はいますぐ廃止せよ」さんから、上記のグラフ「東京都 大気中の放射線量 2013年1月4日から1月14日」の縦軸めもりの間違いを指摘していただきました。データ処理の際に誤ったグラフにしてしまったようです。お詫びします。訂正し、1月14日15時までだったデータを22時まで付け加えました。22:42pm。

 それでまた発見しました。地面の放射線量を雪と雨が遮蔽する効果があるためでしょうか。雨、雪が降る以前よりも、東京都各地の空間放射線量が下がっています。

 この時点で雪の上5cmと1mの上の空間放射線量を測定した場合、いつも同じ空間線量に下がっている可能性があります。もしそうならば、さきほどの高かった空間線量は空気が原因であった可能性もあります。放射能プルームです。川根は、自宅で外の雪をビニール袋に入れて溶かし(お風呂に入れた)、2Lのペットボトルに入れ、室内での空間線量0.08~0.14マイクロシーベルト/時の場所で、線量計Radex1503の前にペットボトルを置いたとき、置かなかったとき、と30分くらい何度も計測しましたが、ペットボトルのせいで空間線量が上がることはありませんでした。ガイガーで分かるほどの放射性物質はこの雪には入っていないのではないか、と推測されます。

 東京都産業労働局が世田谷区深沢で採取した大気中の放射性物質の核種分析をしています。そのデータでは以下のように、2013年1月9日セシウム137が空気1m3中に0.0001ベクレル検出されています。セシウム134は検出限界以下だったせいか、検出されていません。(検出限界0.0001ベクレル/m3)

都内における大気浮遊塵中の核反応生成物の測定結果について 2013年1月11日公表


 これは極めて微量とは言えますが、何と昨年10月もすべてND(不検出)、11月もすべてND、12月もすべてND。今年1月1日~11日まで検出されたのが、1月9日だけです。ちなみに、一番最近の過去検出されたのは、2012年9月29日までさかのぼります。この日は空気1m3あたりセシウム134が0.0003ベクレル、セシウム137が0.0003ベクレル検出されています。

都内における大気浮遊塵中の核反応生成物の測定結果について 平成24年9月1日~29日計測分

 この雪にはおそらく0.001か、0.01ベクレル/kgのオーダーでは放射性セシウムが入っている可能性があります。しかし、この数値では雪を溶かして、1Lくらいの水にしてもゲルマニウム半導体検出器を使っても検出されない可能性があります。方法はただ一つ濃縮をかけることです。文科省の水道水のデータも3ヶ月分の水道水90Lくらいを1Lに濃縮し(水分を蒸発させる)、測定した結果の数値を90で割るという方法で微量な放射性物質の濃度を測定しています。

 この雪の放射性物質の濃度を測定するには100Lくらいの雪を溶かした水を1Lくらいに濃縮をかけ、NaIシンチレーション式でバックグランドが数cpmの環境で48時間くらいかければ、測定できるかもしれません。

 文科省が3ヶ月かけて測定している水道水中の放射性セシウムの分析結果はこちら。

水道水はどれくらい放射能汚染されているか?
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  1. 2013/01/14(月) 17:23:52|
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