内部被ばくを考える市民研究会

福島第一原発事故後の日本に生きて、川根眞也が日々感じて思うことをつらつらを書いていきます。

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福島、宮城から子どもたちを避難させよ

福島県在住の乳幼児2022人の尿中の放射性セシウム濃度

 2012年7月1日、福島県在住の乳幼児2022人の尿中の放射性セシウム濃度の検査結果を同位体研究所が発表しました。これは40mlという少量の尿を直径47mmの吸着シートに吸い取り、濃縮をかけてからゲルマニウム半導体検出器で検査するという方法で行ったものです。2022人中、141人の尿から放射性セシウムが検出されました。つまり、検出された子どもの割合は7%です。ちなみに、放射性セシウムの定量下限はだいたい1ベクレ/kgでした。

福島県内未就学児童尿放射能検査結果 同位体研究所 2012年7月1日

 141人中、68人(48.2%)の放射性セシウムは1ベクレル/kg以下でした。しかし、これは安全な値ではありません。矢ヶ崎克馬琉球大教授によれば、尿中の放射性セシウム濃度から、体内の放射性セシウム量を推定することができ、だいたいその150倍ではないか、言及されています。もし、尿からもし0.5ベクレル/kgの放射性セシウムが検出された場合、0.5×150=75、その子の体内には75ベクレルの放射性セシウムがあるかもしれない、ということです。

 ベラルーシのゴメリ医科大学の学長だった、ユーリ・I・バンダジェフスキー博士は、2012年3月に来日された際、「子どもの体重1kgあたり10ベクレルの放射性セシウムの蓄積で遺伝的影響が起き、不整脈を起こす可能性がある」と報告しています。

 1歳半の赤ちゃんの体重は10kgくらい。小1の子どもの体重は20kgくらいです。バンダジェフスキーによれば、1歳半の赤ちゃんにとって危険なレベルは10×10=100ベクレル。小1の子どもにとって危険なレベルは20×10=200ベクレル、ということです。体内に75ベクレルあることが1歳半の赤ちゃんにとっては危険なレベルに近づいている、ということを意味します。

 福島県在住の子どもたちの尿検査で驚くべきことに、10ベクレル/kgを越える子どもが3人もいた、というのです。最高は4歳の男の子 17.5ベクレル/kg。そして、4歳の男の子 14.0ベクレル/kg。4歳の女の子が12.0ベクレル/kg。同研究所によると、10Bq/kgを超えた3人はいずれも家庭菜園などで自家栽培した野菜を食べていたとのこと。まったくもって、あってはならないことだと思います。

 この検査結果について同位体研究所は「天然の放射性物質である放射性カリウムは、平均64.8Bq/kg検出されている事からも放射性セシウムの検出量は十分に低い水準である。」と評価しているが、これはまったくの誤りです。自然放射能のカリウム40と人工放射能である放射性セシウムを同列に扱うことはまったく意味がありません。バンダジェフスキー博士は放射性セシウムには、セシウムそのものが持つ、金属毒性もある、と指摘しています。

 カリウムは人体にとって必須栄養素であり、細胞膜を作る物質でもあります。セシウムがカリウムと似た化学的性質を持つので、放射性セシウムも人体に入って細胞の一部になります。放射性カリウムの方は地球が誕生したときから自然界にあり、地球上の生物は放射性カリウムを体内にずっとためておかないシステム、代謝を作り上げています。しかし、放射性セシウムが地球上に登場したのは、アメリカの核兵器開発とそのための原発の稼働によって1940年代からです。地球上の生物はまだ、放射性セシウムをうまく体外に排出する経路、代謝を確立していません。

 放射性セシウムは人体に入ると、①心臓 ②脳 ③泌尿器にたまりやすいのです。放射性防護の教科書や原子力資料情報室の資料には未だに「筋肉にたまる」とだけ書いてありますが、チェルノブイリ事故による健康被害では、筋肉にたまるよりも、心臓や脳、泌尿器などに蓄積することが明らかになっています。そして、大人よりも子どもの方が各臓器にたまりやすいこともバンダジェフスキー博士が指摘しています。

 1997年および1998年に行われたゴメリ地方住民の死体解剖時の放射能測定データによる成人(青)と子ども(赤)の臓器別セシウム1137含有量 ユーリ・I・バンダジェフスキー 2009

 これは大人73人、子ども52人の死体を解剖し、心臓、脳、肝臓などごとに鉛の容器に入れて、放射能濃度を測定したデータです。世界広しと言えども、このような研究をした医学者はバンダジェフスキー博士だけでしょう。そして、彼は放射性セシウムが心臓の筋肉に部分的に蓄積することによって、不整脈が発生することを発見しました。これをベラルーシの議会で報告した、3日後に無実の罪で投獄されたのです。(1999年)

 日本の放射線の専門家は、放射性セシウムの体内蓄積量が、自然放射能のカリウム40に比べて小さいことだけで、「健康への影響はない」としています。大きな誤りです。放射性物質はそれぞれ違います。そして、たまる臓器も異なります。また、心臓だったら心臓全体に均一に蓄積するのではなく、部分的に蓄積し、ある部分だけを傷つけ破壊する作用があります。国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護モデルでは、放射性セシウムが筋肉にたまり、心臓や神経にはたまらないことになっています。筋肉にも均一にたまる、つまり、うすく広くたまるので影響が少ない、とされています。これはまったくの間違いです。

 また、バイオアッセイ研究所の福島昭治氏が、チェルノブイリ膀胱炎について研究されています。汚染されたほこりや食品を口から体内に取り込むことで、体内に放射性セシウムが蓄積してしまいます。この放射性セシウムが腎臓から尿に排泄され、1歳だと9日間で半分になりますが、9歳だと39日かかり、30歳だと70日、50歳だと90日かかって半分になります。福島昭治氏は、高い放射線量地域(111万~18.5万ベクレル/㎡)、中間的な線量地域(18.5万~1.85万ベクレル/㎡)、非汚染地域(1.85万ベクレル/㎡以下)で、「上皮異形成」「膀胱がん」になった住民の数を調べました。そして、放射性セシウムの線量が高い地域ほど、明らかに上皮異形成や膀胱がんの患者が多いことを見つけたのです。

チェルノブイリ膀胱炎 東京新聞 2011年9月14日朝刊

 そして、この高い放射線量地域(111万~18.5万ベクレル/㎡)、中間的な線量地域(18.5万~1.85万ベクレル/㎡)、非汚染地域(1.85万ベクレル/㎡以下)の住民の尿中の放射性セシウムの濃度を調べました。それが以下の表です。

ウクライナにおけるチェルノブイリ膀胱炎の発症状況と尿中のセシウム濃度

 高い放射線量地域(111万~18.5万ベクレル/㎡)の住民の尿中の放射性セシウムの濃度の平均は6.47ベクレル・㎏。さきほど紹介した4歳の男の子2人と4歳の女の子の数値はこの6.47の2倍です。

 中間的な線量地域(18.5万~1.85万ベクレル/㎡)の住民の尿中の放射性セシウムの濃度の平均は1.23ベクレル/kg。このレベルの子どもたちは18人(1.0~1.9ベクレル/kg)、16人(2.0~2.9ベクレル/kg)、10人(3.0~3.9ベクレル/kg)、13人(4.0~4.9ベクレル/kg)、6人(5.0~5.9ベクレル/kg)、5人(6.0~6.9ベクレル/kg)、1人(7.0~7.9ベクレル/kg)もいます。

 放射線被曝から子どもを守る会・多賀城の調べでは宮城県多賀城市の子どもでも、小学1年生の男の子 2.01ベクレル/kg、幼稚園年少の女の子1.58ベクレル/kg出ています。

多賀城市民の尿の放射能検査結果

 福島県、宮城県の高濃度汚染地帯から子どもたちをただちに避難させるべきです。他にもホットスポットは東北、関東、東海まで広がっています。こうしたホット・スポットから子どもたちを避難させるべきです。
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  1. 2012/07/16(月) 00:14:46|
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