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内部被ばくを考える市民研究会

福島第一原発事故後の日本に生きて、川根眞也が日々感じて思うことをつらつらを書いていきます。

放射能汚染瓦礫を日本全国に拡散させてはいけない

防波堤型 瓦礫処理の概念図 青山貞一氏 池田こみち氏
 
 埼玉県で放射能汚染ガレキ受け入れ表明した自治体、団体は以下の通りです。

さいたま市、川越市、所沢市、飯能市、加須市、春日部市、狭山市、入間市、桶川市、坂戸市、川島町、

蓮田市白岡町衛生組合、志木地区衛生組合、彩北広域清掃組合、秩父広域市町村圏組合、埼玉中部環境保全組合

 しかし一体どれくらいの放射性物質が瓦礫に付いているのでしょうか?東京都が宮城県の瓦礫の受け入れを表明しています。宮城県の瓦礫は2011年8月3日の検査では

 宮城県の汚染瓦礫はセシウム134、137合計で 133ベクレル/㎏。

 焼却灰は、

混合燃焼時で2300ベクレル/kg(9月8日実施)
通常時で2200ベクレル/kg(9月1日実施)

 のものが出来たと書いてあります。また、東京都は「東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドライン(環境省 平成23年8月11日・一部改定10月11日、11月18日)」を適用する。と書いてあって、これによると、

焼却中の排ガスは

 焼却中の排ガスは
 セシウム134は20ベクレル/kgまでOK。
 セシウム137は30ベクレル/kgまでOK。

ということです。
 
 しかし、問題なのは、放射能汚染瓦礫だけの問題ではないということに気がつきました。東日本一帯に降り注いだ放射性物質が、たとえば、野菜の皮、落ち葉、立ち木の剪定で出た枝等々が一般ごみとして燃やされています。私は毎日、Radex1503で空間放射線量を測定していますが、7月ごろまでに下がってきた空間放射線量が9月以降一切下がっていません。それどころか、川口市内の自宅の部屋(アパート3階)でも、0.16マイクロシーベルト/時に羽がる事がしょっちゅう見られるようになってきました。12月27日(火)13:30pm西川口3丁目のマンション前で一時的に0.23マイクロシーベルト/時を計測しています。これは何かが飛んでいるということだと思います。それも、福島第一原発から直接ではなく、地表に落ちた放射性物質が舞っている。または、川口市内の焼却場からセシウム134、137が再び空気中に放出されている、ということではないか、と疑っています。

焼却施設における焼却灰の放射性セシウム濃度 宮城県
焼却施設における焼却灰の放射性セシウム濃度 岩手県

 これが、8月29日に環境省が発表した、宮城県、岩手県の焼却灰のデータです。宮城県仙台市の松森工場ではセシウム134、137 合計 2581ベクレル/㎏が出来ています。岩手県大船渡市のA施設(なぜ名前が公表されない?!)セシウム134、137 合計 905ベクレル/㎏が出来ています。

 では、埼玉県はというと、以下が焼却灰のデータのデータです。
焼却施設における焼却灰の放射性セシウム濃度 岩手県

 なんと、川越市 合計 3300ベクレル/㎏(飛灰)、川口市 合計 4100ベクレル/㎏(飛灰)、所沢市 合計 5600ベクレル/㎏(飛灰)、飯能市 合計 5740ベクレル/㎏(飛灰)、加須市 合計 3200ベクレル/㎏(飛灰)、東松山市 合計 2800ベクレル/㎏(飛灰)、狭山市 合計 2400ベクレル/㎏(飛灰)、等々(切りがない……)と、宮城県、岩手県の津波で被災した瓦礫と同じかそれ以上の放射性セシウムが検出されているのです。つまり、汚染瓦礫を受け入れる前の現在でも焼却場からは放射性セシウムが出ている、ということです。

 私たちは非常に困難な現実に直面しています。焼却場を止めなければいけない、ということです。そうでなければ、私たちの環境中に放出された放射性セシウムはぐるぐると回るだけです。呼吸を通じて、体内に摂取されていきます。

 環境ジャーナリストの青木泰氏が、高岡昌輝 京都大学准教授の言う「焼却場に設置されたバグフィルターでセシウム134、137は99.99%取れると説明され、報道を通して一人歩きしていった」ことを批判しています。バグフィルターではセシウム134,137はとれません。そもそも水銀を97.5%を除去するという名目で設置されたバグフィルターですが、設置直後から使い物にならず交換せざるを得ず、焼却炉メーカー自身が金属水銀をバグフィルターで取ることができないと言っていたことを指摘しています。

環境省放射能汚染廃棄物の焼却方針と専門家の役割
2011年11月7日 環境ジャーナリスト 青木泰
http://gomi54.cocolog-nifty.com/blog/files/111109haikibutsu.pdf

 東大の児玉龍彦教授がAERA2011年12月26日号で、「燃やすときにフィルターでセシウムを除去する。太平洋セメントにセシウム137を除去する技術がある」と語っています。逆に言うと、現在の焼却施設にはそのフィルターは付いていないということです。

 汚染瓦礫を使った、防波堤を作ることを青山貞一さん(東京首都大学)、池田こみちさん(環境研究所)らが提案しています。瓦礫を焼かなくてもいいのです。

 放射性物質の除染の基本は、-固めて取る・取って固める・剥ぎ取る-です。燃やしてはなりません。残念ながら、放射性物質は広大な範囲に拡散してしまいました。燃やすことはさらに拡散することです。集めて固める、そのための土地を各自治体が決定していくしかありません。福島県は当然ですが、宮城県、岩手県、山形県、茨城県、埼玉県、栃木県、千葉県、群馬県、東京都、神奈川県、静岡県、新潟県の南魚沼市、長野県の佐久市軽井沢町は、放射性廃棄物の処理および貯蔵施設を作るべきです。放射性物質を移動させることは危険です。

 そして、東北地方、関東地方、以外の比較的放射能汚染が低い自治体にわざわざ放射能汚染瓦礫を持ち込み、焼却するのはもっての他です。さらに多くの人々の肺がんを引き起こし、甲状腺障害を引き起こします。

 放射能汚染瓦礫を移動させるな、放射性セシウムが着いた生活廃棄物を燃やすな、の声をあげていきましょう。

                    2011年12月29日 内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也

 チェルノブイリのかけはしの野呂美加さんから、以下のご指摘をいただきました。汚染瓦礫をコンクリートで固めて瓦礫処理するのは無理なようです。さらに、いろいろな知恵を集めて、放射性物質の最終処分をしなくてはいけません。情報をお寄せ下さい。

「チェルノブイリの事例です。万が一、放射性物質が付着していた場合、コンクリートの寿命を短く(酸化)するので、ひび割れてそこから、雨水が流れ込み放射能を含んだ水が流れ出して、すぐに問題になりました。チェルノブイリではそうしたがれき類の処分場をつくっていたのですが、途中からあきらめました。がれきの問題はもう少し時間をかけて、安全性をじっくり検討すべきだと思います。ほかの放射性核種(セシウム以外)についての調査がないことも、危険性を高めます。」2011年12月29日野呂美加さんからのメール
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  1. 2011/12/29(木) 13:45:25|
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学校給食を変えるために(2) 2011年12月14日(水)記

僕が測った放射線量 2011年3月15日
埼玉県放射性降下物(ちり、雨水)の測定結果 2011年3月19日 から3月31日 埼玉県ホームページより
 空気中に放出された放射性核種とその量 Bq毎cm3 高エネルギー加速器研 究所(KEK) 2011年3月15日から5月26日

北海道札幌市 給食 0ベクレル/kgを宣言
  11月29日付け北海道新聞朝刊に以下の記事が載りました。

** 引用はじめ **
【給食は「不検出」食材だけ 札幌市教委、放射能検査 全国有数の厳格対応】  
札幌市教委が12月から独自に始める学校給食食材の放射性物質検査について、同市 の上田文雄市長は28日、微量でも放射性物質を検出した食材は、放射性セシウムで1 キロ当たり500ベクレルなどとされている国の暫定基準値を下回っていても、使わな い方針を示した。道教委によると、道内で学校給食食材の放射能検査を始める予定の自 治体は、札幌以外にない。道外で実施している自治体のうち6月から始めた横浜市は、 暫定基準値よりも低い場合は「その都度、使用の可否を判断している」(横浜市教委) という。
** 引用おわり **
 
先の日記『学校給食を変えるために 2011年12月2日記』でも紹介した ように、放射性セシウムを毎日1ベクレル食べていても700日後(2年後)には200ベクレ ル弱たまります。しかし、毎日10ベクレル食べていると700日後(2年後)には体内の放 射性セシウムの蓄積量は1400ベクレルを超えます。(ICRP Publication111)これは、 体重60㎏の人で、体重1㎏あたり23ベクレル/㎏。体重15㎏の子どもでは体格が小さいので、1400ベクレルまではいかないと思いますが、体重1kgあたり30ベクレル/㎏を超 える可能性があります。

 ベラルーシのゴメリ医科大学元学長ユーリ・I・バンダジェフキー氏は、体重1kg あたり50ベクレル/㎏以上、セシウム137が蓄積すると、生命に関する臓器が深刻な 危機に陥ると警告しています。また、体重1kgあたり20ベクレル/㎏以上、セシウ ム137が蓄積すると、不整脈などの症状が現れるとしています。欧州放射線リスク委員 会科学幹事のクリス・バズビー博士が、ユーリ・I・バンダジェフキー氏の報告に基づ き、心筋の1%が死ぬだけで心臓の25%の機能が失われることを動画で報告しています 。

youtube動画『福島の子供たちに心臓病増加の危機!セシウムが影響!バズビー(字幕)』 http://www.youtube.com/watch?v=OmTz_VuFovQ&feature=share  

 からだが小さな子どもほど、この放射性セシウムの影響は大きいのです。また、バナ ナなどにも含まれている自然放射線カリウム40については、このような破壊的影響は報 告されていません。(しかし、カリウムについても代謝-食事でカリウムを摂取して、 体内から古いカリウムが汗やおしっことして排泄されること-がうまくできなくなると 深刻な病気になるケースも報告されています。)カリウム40を引き合いに出して、セシ ウム134、137はまったく影響がないとする議論がありますが、これはまったくの間違い です。  

 東京新聞朝刊 4面などでは、ベクレル→ミリシーベルトへの計算式が載っています が、これは決定的なあやまりです。セシウム134、137の毒性について、このような計算 式で健康被害を推定することはできません。

<例>【4,350Bq/kgの牛肉を150g食べた場合の暴露量】 4,350Bq/kg×0.15kg注1×(1.6×0.00001)注3=0.01ミリシーベルト
注1 平成21年の国民健康・栄養調査での1日当たりの肉の摂取量(最も食べる量が多い 15~19歳男性の場合)=149.3g(150g)
注2 食品安全委員会では、上限を年間5ミリシーベルトとすることについては、かなり 安全側に立ったものであると評価しています。
注3 放射性セシウムの実効線量係数:1.6×0.00001(134と137が等量と仮定)
出典:兵庫県のホームページより『暫定基準値を超えた稲わらを与えられた牛の肉につ いて』  

 つまり、1回食べてもたった0.01ミリシーベルトにしかならないから、何回か食べた くらいなら安全と言っているわけです。  

 まず第一に、大人とこどもの心臓の大きさは同じではありません。そして、セシウム 134、137が心臓にたまるのか、脳にたまるのか、膀胱にたまるのか、等々、それぞれの 器官によって影響がまったく違うのです。数値を出して、「合計1ミリシーベルトまで は安全」という議論は、人間のからだを肉のかたまりをして考えています。そもそも、 ICPRの放射線防護モデルは、DNAの発見以前に作られたもので、ゲノム科学などの成果 を反映していません。(児玉龍彦教授)政府や放射線防護委員会や、いわゆる「100ミ リシーベルトまでは安全」と言っている放射線の専門家の言うことは間違っています。  

 特に胎児や乳児、小さい子どもには、0ベクレル/kgの食品を与えるべきです。  食品大手の明治の粉ミルク「明治ステップ」850g缶から最大30.8ベクレル/kgの 放射性セシウムが検出されました。これは埼玉県春日部市にある埼玉工場で3月12日か ら20日に製造した粉ミルクで、以下のような検査結果でした。

[賞味期限-放射性セシウム濃度] 
2012年10月4日-21.5ベクレル/㎏ 
10月21日-29. 0 
10月22日-30.8 
10月24日-22.5
(12月7日毎日新聞朝刊)   

 これは、福島県二本松市の市民団体「TEAM二本松」の独自検査で判明したこと。「こ どものたべもの基金」の畠山浄さん(石川県常福寺副住職)が明治に伝えた(11月14日 )ところ、明治は「検査しているので問題はない」と答えたという。このため、より精 密な民間機関に依頼したところ、約45ベクレル/㎏が検出され、もう1度11月28日に電 話で通報したところ、約40万缶の無償交換を発表したのが、8日後の12月6日だったと のこと。(サンデー毎日12月25日号)まったく、子どもの健康と安全を無視する食品会 社であると断定せざるを得ません。  

 原乳の粉乳は大部分が豪州などの外国産で一部は北海道で、いずれも東日本大震災前 に製造されたものである、とのこと。明治によると、粉乳などを水などと混ぜ合わせて 霧状に噴霧したものを熱風で乾燥させて粉ミルクを作っていたとのこと。「乾燥の過程 で取り込んだ外気に含まれたセシウムが影響した」と明治は説明しています。  

 原料がこの通りであるとすると、水道水と空気が原因であると僕は思います。

<資料1>僕が測った放射線量 2011年3月15日。

 これはさいたま市および川口市でロシア製の 放射線量計Radex1503で観測して空間放射線量のグラフです。この午後5時~6時の空気 をずっとあて続ければ、このような粉ミルクができるのは当然です。  

 そして資料2が埼玉県放射性降下物(ちり、雨水)の測定結果です。2011年3月19日 から3月31日の期間のものです。実はこれは埼玉県衛生研究所で計測されているもので す。6月10日、埼玉県衛生研究所に見学に行きましたが、その際、「なぜ3月19日以前の データがないのか?」と聞きました。この降下物(ちり。雨水)の測定は、文部科学省 の委託事業のため、検査は文科省の指示に基づいて行われていました。3・11以前は月 に1回測定すればいいことだったそうです。なんと「毎日測るように」と指示が出され たのは3月18日だとのこと。福島第一原発が3月12日以降1号機、3号機、2号機、4号機と 次々と爆発し、大量の放射性物質が飛んできているにもかかわらず、文科省はその調査 すら指示しなかったのです。データの隠ぺいならず、データそのものを測定しないこと による事実の隠ぺいを狙ったものだと思います。朝日新聞の連載『プロメテウスの罠』 と同様の「放射能を測定するな!」という指示がここにもあったのです。  

<資料2>埼玉県放射性降下物(ちり、雨水)の測定結果 2011年3月19日 から3月31日 埼玉県ホームページより

 資料2は3月19日以降のものですが、注目すべきなのは、3月21日、22日、23日、24日 の大量の放射性物質の降下量です。この期間には雨が降っていました。そして、3月20 日未明に福島第一原発3号機の圧力容器、格納容器の底が抜けたという分析をしている 方がいます。僕もこの見解に賛成です。 てんさい(い)さん 『2011年3月20日、隠蔽された3号機格納容器内爆発』 http://www.asyura2.com/11/genpatu13/msg/517.html  3月21日~24日、異常な放射性物質の降下があったのです。この事実については新聞 もテレビもまったく報道していません。

 そもそも3月15日の大量の放射性物質の関東地 方への襲来について、翌日3月16日の各紙朝刊ではほとんど扱っていません。  粉ミルク「明治ステップ」の異常な放射性物質は、3月15日、3月21日、22日、23日、 24日の空気および水道水によって溜められたものではないでしょうか?これはあくまでも僕の仮説にしかすぎませんが。

放射性物質の襲来→粉ミルク賞味期限(放射性セシウム濃度)
3月15日→賞味期限2012年10月4日(21.5ベクレル/㎏)
3月21日→10月21日(29.0ベク レル/㎏)
3月22日→10月22日(30.8ベクレル/㎏)
3月23日→10月23日(22.5ベクレル /㎏)
3月24日→?  

 この間の空気中に拡散した放射性物質について、つくばにある高エネルギー加速器研 究所(KEK)が空気中に放出された放射性核種とその量を分析しています。資料3が 「空気中に放出された放射性核種とその量 Bq毎cm3 KEK 2011年3月15日から5月2 6日」です。

<資料3> 空気中に放出された放射性核種とその量 Bq毎cm3 高エネルギー加速器研 究所(KEK) 2011年3月15日から5月2 6日
 
 地表に落ちた放射性物質のことだけが報道されていますが、地表に放射性物質が落ち るということは空気中に相当量の放射性物質が拡散していたのです。それを知らずに呼 吸していたということでもあるのです。僕は3月12日以降、福島県、宮城県のみならず 、東北地方、関東地方の各自治体はヨウ素剤を配布すべきであったと考えています。高 エネルギー加速器研究所(KEK)のグラフにもあるように3月いっぱいは相当な量の ヨウ素131が関東地方一帯に降り注いでいたと思います。  

 すべての学校給食の食材は0ベクレル/㎏にするべきだと思います。内部被ばくを考 える市民研究会12月例会でもどのように運動を進めるべきか話し会いたいと思います。 ご都合のつく方は是非、ご参加下さい。

■内部被ばくを考える市民研究会 12月例会■ 
12月16日(金)夜 18時45分~20時45分 浦和パルコ10階 浦和コミュニティーセンター第13集会室
参加費:会員の方は200円。一般の方500円
テーマ (1) 海に広がる放射能汚染 川根眞也     
    (2) ベラルーシの医師スモルニコワ・バレンチナ先生の報告 チェルノブイリ事故以降に子ども、大人に起きた症状 新井忍

※ 内部被ばくを考える市民研究会の会員を募集しています。
参加を希望される方はka wane@radiationexposuresociety.com へメールを下さい。
①お名前 ②住所 ③電話 番号 ④メールアドレス ⑤参加したい活動等のメッセージ
会費の納入は ゆうちょ銀行 記号10370 番号73181351
年間1500円(10月入会~1500円 2月入会~1000円 6月入会~500 円)です。       

        内部被ばくを考える市民研究会 
        事務局 川根 眞也               
http://www.radiationexposuresociety.com/               
E-mail  kawane@radiationexposuresociety.com
  1. 2011/12/14(水) 19:15:44|
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学校給食を変えるために 2011年12月2日記

福島県内のホームセンターで売られているお米の一空袋
放射性セシウムを1日1ベクレル摂取した場合と1日10ベクレル摂取した場合の体内蓄積量
☆学校給食を変えるために 文科省40ベクレル/kg以下を17都県教育委員会に通
知(11月30日)

 文科省はついに11月30日、小中学校の学校給食に含まれる放射性物質を「1キログラ
ムあたり40ベクレル以下」とする安全の目安を定め、東日本の17都県に教育委員会に通
知しました。
 まず、これは一歩前進と言えます。学校給食の食材は国の暫定基準500ベクレル/k
gまではOKという状態で、500ベクレル/kgまでの食材はフリーパスでした。それ
どころか、食材は全品検査をしていないため、7月から大騒ぎになったセシウム汚染牛
肉のように、検査されていたのはほんの一部で、500ベクレル/kgを超え最高4350ベ
クレル/kgのセシウム汚染牛肉が流通していました。横浜市では小学校、中学校の給
食でこの500ベクレル/kg越えの牛肉が使われました。多いところが3回使われた学校
もあります。
 現在、福島市大波地区の新米(玄米)から630ベクレル/kgの新米(玄米)が見つ
かったのを機に大波地区全戸調べたところ、1270ベクレル/kgの新米(玄米)が発見
されています。
 伊達市でも同様に検査を行ったところ、小国地区、月舘月で580ベクレル/kg、最
高1050ベクレル/kgの新米(玄米)が発見されました。
 福島県はこれまでわずかでもセシウム134、137が検出された地域の全稲作農家を対象
に再検査を行うと発表しました(11月30日)。その数なんと2万戸のコメ農家を対象と
します。
 週刊ダイヤモンド9月10日号によれば、福島県内で、栃木県農協等々の農協の検印が
押された米の空き袋(一空袋-いちあきたい)がホームセンターで大量に売られている
といいます。「他県の一空袋がこんなに並んでいるのは見たことが今までないし、売れ
行きもすごい」と書かれています。この記事が8月末の段階で書かれたものです。
 マネーロンダリングならぬ、新米ロンダリングがすでに始まっています。恐らく、大
手スーパーや米屋の一部でセシウム汚染牛肉に匹敵する新米が他県産の古米(22年度米
)となって販売されているはずです。
 もはや、大手スーパーで安心して食品を変える時代は終わりました。文科省は今回17
都県にだけ限り、40ベクレル/kg以下の学校給食にするよう通知を出しましたが、
危険なのはその17都県以外です。その筆頭は沖縄でしょう。関東産の野菜等が大量に
沖縄に流入しています。放射線量は非常に低くとも、食材は関東で売れない野菜ばかり
、沖縄に避難した方々からは「沖縄に避難したのに、外食と学校給食で内部被曝してし
まう」と悲鳴に近い声が届いています。
 学校給食の食材を大手流通業者や各市町村の市場に丸投げするのではなく、良心
的な生産者と1対1の関係を作りあげることが早急に必要です。
 そして、この「40ベクレル/kg以下」とは、チェルノブイリ原発事故の放射線内
部被曝に苦しむ、ベラルーシ、ウクライナの基準とほぼ同じです。ベラルーシの子ども
の食品の規制値37ベクレル/kg、ウクライナの野菜のセシウム137の規制値40
ベクレル/kg。すでに、長野県松本市では、市長の菅野昭氏の英断もあり、学校給食
では40ベクレル/kg以下とするという方針で取り組まれています。
 原発事故後、9か月も経とうとする、11月末になって、やっとここまで来た、とい
う感があります。そして、この文科省がこうした判断した理由は、多くのお母さん方、
お父さん方の行動があったからです。正直、日本のほとんどの労働組合は役に立たなか
ったとも言えます。残念です。
 では、40ベクレル/kg以下ならいいのか、という問題です。低線量被曝者の会共
同代表で「低線量被曝の脅威」(J・マーティン・グールド著 緑風出版 2011年
)の訳者でもある、竹野内真理さんは、週刊金曜日10月14日号に「ベラルーシから
フクシマへの警告 放射性セシウム内部被曝の真実」の論文を寄せています。この中ら
竹之内さんはセシウム137を1日10ベクレル食物から摂取していくと、700日(
ほぼ2年)で体内のセシウム137の濃度が1400ベクレルを超す、というグラフを
紹介しています。これは放射線防護委員会(ICRP)が作ったグラフです。

資料1 セシウム137を一度に摂取した場合と、毎日1ベクレル、および、10ベク
レルを1000日間摂取した場合の全身放射能の推移(ベクレル)。ICRP PUBLICATION
111 2009

原典は以下。
ICRP PUBLICATION111 2009年
http://www.icrp.org/docs/P111(Special%20Free%20Release).pdf
→この24ページに竹野内真理さんが訳出されたグラフがあります。

 セシウム137は体重1㎏あたり10ベクレルくらいから、子どもの心臓の筋肉細胞(心
筋)の病気を引き起こす可能性があることが言われています。(ユーリ・バンダシェフ
スキー教授)子どもではセシウム137が体重1kgあたり20-30ベクレルくらいで不整脈
が観察され、体重1kgあたり50ベクレル/kgでは生命にかかわる臓器が病気になり、
命が危険になると彼は報告しています。

 つまり、10歳で体重15kgの子どもであれば、10×15=150ベクレルのセシウム134、
137合計を蓄積しただけで心臓疾患にかかる可能性がある、ということであり、
 20×15=300 30×15=450 300~450ベクレルのセシウム134、137合計を蓄積しただ
けで不整脈になる可能性がある、ということであり、
 50×15=750 750ベクレルのセシウム134、137合計を蓄積しただけで命にかかわると
いうことです。

 先に紹介した放射線防護委員会(ICRP)が作ったグラフによれば、毎日10ベクレ
ルの食べ物を摂取し続けた場合、200日で体内のセシウム137が1000ベクレルを超えます
。このグラフには毎日1ベクレルを摂取した場合も記載してあり、この場合は200ベク
レルのすぐ下で安定していきます。

 毎日の食品の摂取量は1ベクレル以下するべきであると思います。文科省の学校給食4
0ベクレル/㎏以下という判断はこの放射線防護委員会(ICRP)が作ったグラフを
参考にしなかったのでしょうか?いえ、恐らく考慮したのだと思います。実は、「これ
くらいの放射線は安全です学派」の専門家たちは、自然放射線のカリウム40が体内にあ
り、これに比べるとセシウム134、137の放射線濃度そのものが小さいから、健康に影響
がない、という議論をしています。カリウム40は天然に存在する放射性物質であり、バ
ナナにも含まれています。体重60kgの人間では体内に4000ベクレルのカリウム40が存
在します。体重15㎏の子どもではその4分の1 1000ベクレルあるということです。こ
れと比較して、「カリウム40がそもそも1000ベクレルあっても健康に影響がないのだか
ら、セシウム134、137が合計で1400ベクレルくらいあっても健康に影響がないはずだ」
と判断したのだと思います。

 決定的な誤りだと思います。チェルノブイリ事故後のベラルーシ、ウクライナ、ロシ
アに生きる人々の健康被害の治療にあたってきた医師たちは、カリウム40と比較になら
ないくらい、セシウム134、137の毒性が強いことを報告しています。先に紹介した、ユ
ーリ・バンダシェフスキー教授はこの事実を学会で報告した後、「汚職」を理由に投獄
されました。アムネスティー・インターナショナル等の働きかけで釈放されましたが。

 11月19日に来日された、ベラルーシの医師、スモルニコア・バレンチナ先生は、鼻血
について以下のように語っています。

1.吸い込んだ事での直接鼻粘膜への影響
空気中の放射性核種→ 土壌→ 浮遊→ 鼻→ 炎症→ 鼻血
2.吸い込み+食事で、体内に回り細胞膜が破壊されることでの影響
食べ物→ 胃→ 腸→ 肝臓→ 血管破壊(血管がもろくなる)→ 鼻血
 上記の1.2のとも鼻血が出る可能性があります。空気中に放出されたストロンチウム
などの核種はいったん、土に落ちて、風に舞って浮遊して、鼻から入っていきます。
鼻血が出るということは、鼻から肺に入り、肺がんの危険性もあります。血管がもろく
なっている可能性もあり、循環器系の疾患になる可能性もあります。なので、あまく見
てはいけないのです。
          (11月23日野呂美加さん主催の医師向け学習会より)

 父が広島で被爆した被爆2世の方は、「広島では子どもが鼻血を出すと親は本当に心
配した」と語っています。肥田舜太郎先生は「鼻血と下痢の2つがあったら、内部被曝
を疑った方がよい」と語っています。

 体内に放射性物質を入れるべきではありません。

 まずは、40ベクレル/㎏以上の学校給食を出さないために、すべての食材を数ベク
レル/kg以下にするべきです。NaI(TI)シンチレーション検出器で、検出限界が3.7ベ
クレル/kgのというAT1320という機械があります。市民放射能測定所(crms)が導入し
、郡山市、福島市、神奈川県、等々で市民の力で食品の検査を行っている実績がすでに
あります。

市民放射能測定所(crms)
http://www.crms-jpn.com/

 すべての食材の放射能汚染濃度を測定し、各食材を数ベクレル/kg以下(できるだ
け0ベクレル/kgを目指す)に抑えるべきであると思います。
 
12月10日(土)川根眞也講演会 朝霞
13時30分 朝霞市立コミュニティーセンター1F集会室
主催 朝霞 ひまわりの会
朝霞・志木・和光・新座市の四市(朝霞・志木・和光・新座市)合同賛同者
※ 90名の予約人数に達しました

12月17日(土) 川根眞也お話し会 おやこ講座 子どもたちを放射能から守ろう! 会津14
:00 会津稽古堂 会津若松市栄町3番50号
主催:ふくしまおやこ講座実行委員会
連絡先 会津放射能情報センター 酒井080-5557-5407 aizu311@gmail.com
om
協賛:子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク 子どもたちを放射能から守る全
国ネットワーク 会津放射能情報センター こども未来ふくしま事務局 七代先のこ
どもたちのために行動する会 福島県教職員組合郡山支部 虹とみどりの会 ハーメル
ンプロジェクト NPOはっぴーあいらんどネットワーク 郡山の未来をつくる会
福島集団疎開裁判の会  いのちを守るお母さん全国ネットワーク   

12月17日(土) 川根眞也お話し会 おやこ講座 子どもたちを放射能から守ろう! 郡山
18:30 郡山労働福祉会館 3F 郡山市虎丸町7-7
主催:ふくしまおやこ講座実行委員会
連絡先:こども未来ふくしま事務局 森愛 090-1062-4007 entry@the148.jp
協賛:子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク 子どもたちを放射能から守る全
国ネットワーク 会津放射能情報センター こども未来ふくしま事務局 七代先のこ
どもたちのために行動する会 福島県教職員組合郡山支部 虹とみどりの会 ハーメル
ンプロジェクト NPOはっぴーあいらんどネットワーク 郡山の未来をつくる会
福島集団疎開裁判の会  いのちを守るお母さん全国ネットワーク

12月18日(日) 川根眞也お話し会 おやこ講座 子どもたちを放射能から守ろう! 福島
13:00 福島テルサ3F(つきのわ) 福島市上町4-25
主催:ふくしまおやこ講座実行委員会
連絡先:七代先のこどもたちのために行動する会 齋藤久美子 090-3362-8064
kumi-37.8.4-chan@docomo.ne.jp 
協賛:子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク 子どもたちを放射能から守る全
国ネットワーク 会津放射能情報センター こども未来ふくしま事務局 七代先のこ
どもたちのために行動する会 福島県教職員組合郡山支部 虹とみどりの会 ハーメル
ンプロジェクト NPOはっぴーあいらんどネットワーク 郡山の未来をつくる会
福島集団疎開裁判の会  いのちを守るお母さん全国ネットワーク
  1. 2011/12/02(金) 20:56:46|
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